赤ちゃんに抗生物質を使うとアレルギーになりやすくなる?
私が、風邪をひいた子どもを受診させたときによく処方される薬は、痰の切れをよくする薬、痰や鼻水を出しやすくする薬ですが、抗生物質などの抗菌薬が処方されることも珍しくありません。生後6ヵ月までに抗菌薬などを使用した赤ちゃんがその後アレルギー性の病気になりやすいかを調べた研究があることを知ったとき、その結果がとても気になりました。
赤ちゃんに抗菌薬を使用すると、アレルギー性疾患を発症しやすくなる?
2018年4月、JAMA Pediatrics電子版に、赤ちゃんの腸内細菌叢を乱すような薬(制酸薬や抗菌薬)を使用するとアレルギー性疾患(食物アレルギー、喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎など)の発症リスクが高まるかを検証した結果が報告されました1)。
この研究の対象は、制酸薬や抗菌薬を生後6ヵ月までの間に投与された赤ちゃんです。解析には、アメリカ軍関係者とその家族の医療記録がある大規模データベースが用いられています。
解析の結果、制酸薬や抗菌薬を生後6ヵ月までの間に投与された赤ちゃんでは、それらを処方されていなかった赤ちゃんと比べて、アレルギー性疾患のリスクが上昇していました。
生後6ヵ月以内の抗菌薬や制酸薬の使用とアレルギー性疾患の発症に関連性があることが見いだされたことから、著者らは、これらの薬の乳児への使用は、臨床的にはっきりとしたメリットがあるときに限るべきと結論づけています。
子どもの抗菌薬の使用歴が気になり、おくすり手帳をすぐに確認
おくすり手帳を毎回きちんと提示していた私は、すぐさま、おくすり手帳を見返してみました。子どもが初めて内服の抗菌薬を投与されたのは生後9ヵ月のときであり、「セフジニル細粒10%小児用」という抗生物質でした。
生後6ヵ月まででみると、「レボフロキサシン点眼液1.5%」という点眼タイプの抗菌点眼剤を継続的に使用してはいましたが、内服の抗菌薬は処方されていませんでした。
抗菌薬の処方理由を医師に確認することを意識していきたい
抗菌薬については、近年、薬剤耐性の問題などから、より適切な使用が求められるようになっており、厚生労働省も2017年6月に「抗微生物薬適正使用の手引き 第一版2)」を作成しています。
薬剤耐性の問題だけでなく、乳幼児の場合にはアレルギー性疾患の発症にも影響する可能性があることを知った今、子どもに抗菌薬が処方された場合には「なぜ処方したか」を医師に尋ねたくなりそうです。
1)Edward Mitre, MD et.al., JAMA Pediatr., Association Between Use of Acid-Suppressive Medications and Antibiotics During Infancy and Allergic Diseases in Early Childhood(2018)
2)抗微生物薬適正使用の手引き 第一版(厚生労働省)
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